理事長挨拶

一般社団法人日本脳卒中学会
理事長 宮本 享


 日本脳卒中学会は、脳卒中ならびにその関連疾患に関する医学的研究の進歩発展を図ることを目的として1975年に設立され、2009年に一般社団法人となりました。日本人の死因第4位の疾患でありかつ寝たきり(要介護5)の原因疾患の第1位である国民病ともいえる脳卒中は発症予防、診断、薬物治療・外科治療・血管内治療などの治療、リハビリテーションや神経再生治療など単一の診療科ではなく幅広い対応が必要とされる疾患です。このため、8300名を超える日本脳卒中学会の会員は主に脳神経外科、内科、リハビリテーション科、救急科、放射線科という5つ基本領域診療科の医師で構成されている横断的診療領域という特徴をもつ学会です。日本脳卒中学会の専門医制度(脳卒中専門医)は2003年に認定が開始され、これまで約4500名が認定されています。専門医教育のカリキュラムも全診療科共通の脳卒中専門医共通のカリキュラムと各診療科の領域別カリキュラムから構成されており、文字通り横断的診療領域としての制度設計がなされています。

 従来、日本脳卒中学会の主な事業は学術集会の開催や学会誌の発行などのような学術活動でしたが、時代とともに医療体制の整備や行政への提言などの社会的な活動を求められるようになりました。2016年に日本脳卒中学会と日本循環器学会は関係する学会とともに「脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画」を発表し、①人材の育成 ②医療体制の充実 ③予防・国民への啓発 ④臨床・基礎研究の強化 ⑤登録事業の促進の5事業を推進してまいりました。これに基づいて、日本脳卒中学会は脳卒中センターの認定開始や学会認定施設からの年次報告による登録事業の促進などに努めてまいりました。

 そのようななかで「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」いわゆる脳卒中・循環器病対策基本法が2018年に成立し、国策として脳卒中に対する体制整備が現在急ピッチで進められています。

 日本脳卒中学会は、患者や市民と医療関係者で構成されている公益社団法人日本脳卒中協会そして関係する学術団体とともに、本邦における脳卒中の予防・急性期治療・回復期から維持期にかけてのリハビリテーションなどのシームレスな診療体制や患者支援体制が適切に整備されるようにこれからも力を尽くし、我が国の脳卒中医療の発展に貢献してまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。


2020年2月